親知らずの炎症による「智歯周囲炎」とは?自然治癒?抜歯?
スタッフブログ 2025.12.19
皆さん、こんにちは。阿倍野区の足立歯科クリニックです。
「親知らずが腫れた」「奥歯がズキズキして食事がしづらい」このような症状は、親知らずの周囲に炎症が起きている可能性があります。
親知らずの炎症は「智歯周囲炎(ちししゅういえん)」と呼ばれ、現代では非常に多くの患者様に見られるお口のトラブルの一つです。
炎症が軽度のうちは自然に治ることもありますが、悪化するとお子様から大人まで日常生活に大きな支障をきたし、重症化すれば入院や全身合併症のリスクも否定できません。
阿倍野区で歯医者をお探しの方へ、智歯周囲炎の「重症度」や治療法を医学的に正しく解説いたします。
監修者情報
医療法人 青空会 足立歯科クリニック 院長
足立 哲也(あだち てつや)
プロフィール
朝日大学歯学部卒を卒業後、幅広い年齢層の患者と向き合いながら、むし歯や歯周病、予防歯科などの診療に取り組む。
患者が安心して通えるよう、丁寧なカウンセリングとやさしい対応を心がけている。
略歴
- 平成11年3月 朝日大学歯学部卒業
- 平成11年4月 大阪歯科大学研修医
- 平成12年4月 中岡歯科医院勤
- 平成15年4月 足立歯科クリニック開業
- 平成16年12月 医療法人青空会理事長
- 平成22年9月 南カリフォルニア大学ジャパンプログラム卒業
- 平成23年3月 AAID(アメリカインプラント学会)マキシコース卒業
- 平成24年4月 ICOIコロンビアコース
- 平成25年6月 インディアナ大学 インプラントコース
- 平成30年3月 大阪歯科大学院卒業
- 令和2年4月 大阪歯科大学 非常勤講師
所属学会・資格
- ADIA(アメリカインプラント学会)認定医・専門医
- IDIA国際歯科インプラント学会
- 日本口腔インプラント学会認証医・専門医
- ICOI国際口腔インプラント認定医・指導医
- AAID(アメリカインプラント学会)認定医・専門医
- 日本顎咬合学会認定医
- 南カリフォルニア大学 客員研究員
- 南カリフォルニア大学 ジャパンプログラムリーダー
- インディアナ大学 口腔再生学講座 インプラント研究科 客員講師
- インディアナ大学歯学部 日本歯科矯正プログラム 認定医
- 歯科医師臨床研修指導医
- 歯科放射線学会 認定医
- 口腔医科学会 認定医・専門医
- オステムインプラント 指導医・公認インストラクター
- 光機能化バイオマテリアル研究会会員
- JAID代議員
- 国際審美学会会員
- 臨床器材研究所認定医
- 介護支援専門員(ケアマネージャー)
- 衛生検査技師
- BLS認定医
- 福祉住環境コーディネーター
- ISOI国際口腔インプラント学会ドイツ口腔インプラント学会日本支部
◆親知らずの炎症(智歯周囲炎)とは何か
親知らず=智歯は、奥歯(大臼歯)の中でも最も後ろに位置し、多くの場合10代後半〜20代に生えてきます。
本来は噛む力を補助する役割がありますが、現代人は顎が小さくなり、親知らずが生えるための骨やスペースが不足しているケースが多いといわれています。
その結果、
・斜めに傾いて生える
・横向きに埋まったままになる(埋伏歯)
・途中までしか生えてこない(半埋伏歯)
といった状態になりやすく、歯ぐきと親知らずの間に細菌・食べかすが溜まりやすくなるため、炎症が起こります。
さらに、親知らずはお口の最奥部に位置するため、歯ブラシが届きにくく、虫歯や歯ぐきの炎症のリスクが高くなることも特徴です。
放置すると他の歯のかみ合わせに悪影響を及ぼすこともあります。
◆智歯周囲炎の症状と「重症度」
智歯周囲炎は進行度によって症状が大きく変化します。
当院では、以下のような目安で重症度を判断し、治療方針を検討します。
●軽度(初期)
・歯ぐきが赤く腫れる
・歯ブラシが触れると痛い
・口臭が強くなる
・歯ぐきから膿が出ることもある
自覚症状が少なく、見逃しやすい段階ですがすでに炎症は始まっています。
●中等度(急性期のはじまり)
・奥歯を噛み合わせると痛い
・口が開けづらい
・食事がしづらい
・のどの違和感
日常生活に影響が出始めるため、早急な歯科受診が必要です。
●重度(進行期)
・顔の片側が大きく腫れる
・発熱・頭痛・強い痛み
・飲み込む動作も困難
・夜眠れない
炎症が顎や首のリンパに広がり、全身疾患(敗血症など)に繋がる危険性もあります。
ここまで悪化させてしまう前に、阿倍野区の歯医者として断言できることは、早期治療が何より重要ということです。
◆親知らずの炎症は自然治癒する?
「しばらく放置したら痛みが引いた」「今は症状が出ていないから大丈夫」といったように判断してしまう患者様は少なくありません。
しかし、智歯周囲炎は細菌感染による炎症であり、痛みが治まったように見えても、炎症を引き起こす原因である親知らずの位置異常や清掃不良が改善されたわけではありません。
痛みが引くのは、炎症が一時的に鎮静しているだけであり、以下のようなリスクが進行している可能性があります。
・親知らずだけでなく、手前の大切な歯が虫歯になる
・歯ぐきの腫れが慢性化し、膿が溜まり続ける
・かみ合わせのズレが生じ、顎関節症へ発展
・継続的な口臭や不快感により生活の質(QOL)が低下
特に、何度も腫れを繰り返す場合は慢性炎症へ移行しており、重症化すれば顔の腫れや発熱、全身へ炎症が拡大し入院治療が必要になるケースもあります自然治癒を期待して放置することは、結果として治療を大きく遅らせることに繋がります。
親知らずの違和感は、早期に阿倍野区の歯医者で検査を受けることが最も確実な対策です。
◆炎症を防ぐためにできること
智歯周囲炎は、正しいケアと生活習慣により予防が期待できます。
普段から以下の点を意識してみてください。
●清掃を徹底し、細菌を増やさない口内環境へ
親知らずの周囲は見えにくく磨きにくいため、通常の歯ブラシだけでは不十分な場合があります。
より効果的な清掃のポイントは以下です。
・タフトブラシを使い、歯ぐきの隙間を丁寧に磨く
・デンタルフロスで歯間に残った汚れを取り除く
・歯みがき後に洗口液を併用し、細菌の繁殖を抑える
継続が難しい時こそ、歯科衛生士による定期的なクリーニングが重要です。
●身体の抵抗力を高める生活習慣
智歯周囲炎は免疫力が落ちたタイミングで急に悪化することも多く、「疲労」「ストレス」「睡眠不足」「偏った食事」は悪化要因になります。
・ビタミン・ミネラルを含む食事
・十分な睡眠
・体調管理
これらが、結果的にお口の健康にも直結します。
さらに、親知らずの状態は患者様それぞれ異なり、表から見えない方向に生えている場合もあります。
定期検診で レントゲンやCT検査を行い、親知らずの将来的なリスクを早期に把握することが、重症化予防に大きく貢献します。
◆智歯周囲炎の治療法
親知らずの重症度によって、以下のような治療を行います。
1. 消炎処置(炎症を抑える治療)
・抗生物質
・鎮痛剤
・歯ぐき周囲の洗浄・消毒
まずは痛み・腫れを抑える治療を行います。
多くの場合、数日で症状は改善しますが、根本原因が解決したわけではありません。
2. 抜歯(根本治療)
智歯周囲炎を何度も繰り返す親知らずは、炎症の根本的原因そのものを取り除く必要があり、「抜歯」が最も確実な治療となります。
親知らずの位置異常は改善されませんので、消炎処置だけでは再発リスクが残り続けてしまいます。
阿倍野区で歯医者をお探しの患者様へ、以下のようなケースでは抜歯を積極的に検討します。
【抜歯を推奨する主な状態】
・横向き・斜めに生えている(水平埋伏歯など)
歯ぐきとの間に細菌がたまりやすく、炎症を繰り返す原因となる
・手前の大臼歯が虫歯・歯周病になり始めている
本来守るべき大切な歯が失われるリスクがある
・深い歯ぐきのポケット形成
慢性的な炎症・膿(膿瘍)へ発展する
・智歯周囲炎の重症度が高く、腫れ・発熱を伴う再発を繰り返す
放置すると入院が必要な全身疾患に繋がる恐れも
・かみ合わせに悪影響を与えている
顎関節症を誘発する場合がある
このような状態では、親知らずが「お口全体の健康を守るための障害」となってしまいます。
◆自宅でできる一時的な対策(応急処置)
・水または刺激の少ない洗口液で優しくうがい
・痛みが強い場合は市販の鎮痛剤を服用
しかし、これらはあくまで一時的な対策です。
炎症が疑われたら、必ず歯科医院を受診してください。
特に、発熱・顔の腫れ・飲み込みにくさを伴う場合は早急な対応が必要です。
◆まとめ
智歯周囲炎は、初期では痛みが弱いため患者様ご自身で気づかず、気づいても我慢してしまいがちです。
しかし、放置すると重症化し、全身に影響が及ぶ可能性があります。
親知らずに違和感を覚えたら、早めに歯科医院を受診し、正確な診断を受けることが大切です。
抜歯の必要性も含め、一人ひとりの親知らずの状態を丁寧に見極め、最適な治療をご提案します。
阿倍野区で「親知らずの痛み」「智歯周囲炎がつらい」「繰り返す腫れが不安」という方は、ぜひ足立歯科クリニックへご相談ください。
患者様のお口の健康を守るため、医学的根拠に基づいた適切な治療を行ってまいります。
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